Club Strawberry Vol.3プレビュー



クリスマスプレゼントに、と綱吉から受け取った六十年物のオールドヴィンテージワイン。勿体ないからとクリスマス当日に開けずにいたそれを、ニューイヤーイヴに空けようと提案したのは山本だ。
 当初獄寺は勿論それに難色を示した。折角のボスからの贈り物だ。それをすぐに飲んでしまうなんて勿体なさ過ぎる。けれど山本は十年前より少し大人びた笑顔で、いいの?と問い掛ける。
「美味かったよ、ってツナに報告しなくて。ツナだって飲んで貰うためにくれたんだから、感想聞きたいと思うけどなぁ」
「感想……」
 十年経っても獄寺が『10代目』に盲目なところは変わっていない。それどころか年を追う毎に激しさを増してさえいるようだったが、逆に山本はそれを上手く利用することをこの十年で学んだ。
 昔は獄寺の中の『10代目』の大きさを見せ付けられる度に、山本自身でさえこんな気持ちを持ち合わせていたのかと驚くような嫉妬心というやつがむくむくと沸きあがって自身を苛んでいたけれど、さすがに今では仕方ないなぁ、と余裕の気持ちでいられるようになった。
 そんな山本は昔より遥かに獄寺の扱いが上手くなっていて、昔だったら確実にやりこめられていたような駆け引きも、三回に一回くらいは優位に立てるようになっている。
必勝の切り札は、とにかく『ツナが』だ。
「そういえばクリスマスの次の日ツナが、『あのワインどうだった?』って聞いて来たんだよ。まだ飲んでないって言ったらちょっと残念そうだったぜ」
「そッ……そんな話してたのかよ!早く言えよそういうことはっ!」
「悪ィ悪ィ。ツナが『獄寺くんが気にするから、おれがワインの話してたことは内緒にしてよ』って言うからさ」
 嘘だ。
 綱吉は確かにワインのことを山本に聞いて来てはいたが、山本が飲んでいないと答えると、だと思った、と言って笑っただけだった。
 まぁ多少の脚色は許容範囲だろう。さっそくワインを開ける準備を始める単純な恋人に、山本は隠れてこっそりガッツポーズをした。


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